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Wednesday, November 4, 2020

焦点:米財務・運輸長官の人選にらみ市場は早くも一喜一憂 - ロイター

[ニューヨーク 3日 ロイター] - 米金融市場は、世論調査が示唆するように米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝った場合に同氏が企業にも優しい穏健派の大統領になるのか、はたまた進歩的な法制度導入を促進する大統領になるかを見定めるため、新閣僚人事に思いをはせている。新政権で進歩的政策が取られれば金融や石油のセクターには重しになりかねないが、クリーンエネルギーのセクターは浮揚する可能性がある。

11月3日、米金融市場は、世論調査が示唆するように米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝った場合に同氏が企業にも優しい穏健派の大統領になるのか、はたまた進歩的な法制度導入を促進する大統領になるかを見定めるため、新閣僚人事に思いをはせている。ホワイトハウス前で撮影(2020年 ロイター/Erin Scott)

閣僚ポストの中でも株価への影響が最も大きそうなのが、財務長官と運輸長官だ。財務長官は下院民主党が後押しする2兆2000億ドル規模の追加経済対策法案を監督する可能性がある。運輸長官は電気自動車(EV)開発を加速させる幅広いインフラ法案を担当する可能性が高い。これはバイデン氏の2兆ドルの気候変動対策計画の一環だ。

消息筋がロイターに語ったところによると、進歩派議員はバイデン氏に対し、企業幹部やロビイストについてはこうしたポストの候補者から外すよう圧力をかけている。またバイデン陣営に近い関係者によると、バイデン氏はこれまでに、閣僚に共和党メンバーも迎えることを検討する意向を示したことがあるが、これが財務長官ポストになることは考えにくい。そんな人選になれば、財務長官職を特に重視する進歩派勢力と大もめになるだろうからだ。

チャールズ・シュワブの首席投資ストラテジスト、リズ・アン・ソンダース氏によると、政権閣僚が民主党の進歩派で占められないほうが市場にはより好意的に受け止められるし、バイデン政権で規制が強化されるとの不安もうち消すことになる。

新型コロナ禍がもたらした景気後退や、そこからの景気回復がいわゆる「K字形」回復となって国民の経済格差が拡大する方向にあることが、米国の資本主義がひどく富裕層を利するもので改革が必要だとの徹底した進歩派的主張を声高にさせている。

進歩派が主張する政策はより公的な部分の大きい医療保険制度や大学授業料補助、賃上げなどを重視するのに対し、穏健派は民間が運営する医療保険計画を支持しており、「グリーン・ニューディール」のような大規模公共投資計画には気乗り薄だ。

バイデン氏が財務長官に起用する候補の1人とされる進歩派のエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)は、商業銀行と投資銀行業の業務障壁の強化や、消費者保護の強化、米郵政公社(USPS)に信用組合との提携を認めて消費者向け銀行サービスを提供させるようにすることを主張している。

米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事やラスキン元財務副長官も財務長官の有力候補とされている。ワシントン・ポスト紙によると、ロードアイランド州のジーナ・レモンド知事(民主党)も候補だ。

バイデン陣営の政権移行チームの報道担当者は「大統領選挙前にはいかなる人選もするつもりはない」と述べた。ウォーレン氏とレモンド氏とブレイナード氏のいずれもコメント要請に応じていない。

ボストン大学国際開発政策センターのケビン・ギャラハー氏によると、ブレイナード氏はオバマ前政権で財務省に勤務、クリントン政権ではホワイトハウスで働いた経験があり、現在はFRB理事であることから、「バイデン政権にとっては強力で安全な選択肢」になる。ただ、ブレイナード氏がバイデン支持派の進歩派色の強い勢力と十分にうまが合うと見なされるかどうかが問題だとも指摘した。

ジョーンズ・トレーディングの首席市場ストラテジスト、マイク・オルーク氏は9月のノートで、ウォーレン氏もブレイナード氏も適任だとする一方、「ウォーレン氏の経歴はこれまで銀行業界への攻撃が根底にあった」とし、同氏起用は投資家の信頼感を動揺させる可能性が高いと指摘した。

RBCキャピタル・マーケッツの株式デリバティブストラテジスト、アミー・ウー・シルバーマン氏は最近の調査ノートで、市場はウォーレン氏のような打撃になる人選の可能性を織り込んでいるようには見えないと指摘した。

フェデレーテッド・ヘルメスのポートフォリオマネジャー、スティーブ・シャバロン氏によると、ウォーレン氏が選ばれるとすれば、民主党が共和党を上院でも少なくとも2-3議席上回って、共和党のチャーリー・ベーカー・マサチューセッツ州知事によるウォーレン氏追い落としが不発に終わるような場合に限られるという。

運輸長官人事も市場に影響が広がる可能性がある。ジョージ・W・ブッシュ氏(子)とオバマ氏は大統領時代に超党派の協力を示すため、野党陣営の民主党ないし共和党からそれぞれ起用したことがある。

クリーンエネルギー関連株やEV関連株はここ1カ月ほど、バイデン氏勝利を見込んで大幅に値上がりしている。

フェデレーテッドのシャバロン氏は「大型のインフラ支出や、EV車や燃料基準などで規制強化が行われる可能性があり、運輸長官は経済面でかなり重要なポストになるかもしれない」と述べた。 

(David Randall記者)

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