近年、4K(3840×2160ピクセル)の画面表示に対応したTVが普及し、8K(7680×4320ピクセル)表示をサポートする機器も現れはじめた。PlayStation 5やXbox Series Xが代表的だろう。
では、PC用のディスプレイではどうだろう。確かに4K表示に対応したモデルはあるが、どれも高価でリフレッシュレートも60Hzが一般的と、ゲーマーにはいまひとつピンとこない製品が多いのではないだろうか。
ASUS JAPANが発売したゲーミングディスプレイ「ROG Strix XG27UQ」(以下、XG27UQ)は、画面サイズが27型(非光沢)でリフレッシュレートは144Hz。応答速度もMPRTで1msをうたい、NVIDIA GeForce RTX シリーズやAMD Radeon RXシリーズのGPUを使えば、DSC(Display Stream Compression)技術の力により、ケーブル1本で4Kの映像を144Hzのリフレッシュレートで出力できる。ハイクラスのPCを持っているコアユーザー向けのディスプレイだ。
先述のDSCは、VESAで規格化された映像信号の非可逆圧縮技術だ。リアルタイムな映像表示に優れ、低遅延を重視した低圧縮率圧縮法となる。DisplayPort 1.4やHDMI 2.1で高解像度かつ高リフレッシュレートの映像を表示するのに必要で、現在ではNVIDIAのGeForce RTX 20シリーズ以降や、AMDのRadeon RX 5700以上のシリーズが対応している。
今回は4Kディスプレイとしての性能をPC版「デス・ストランディング」を使って、リフレッシュレート144Hzの力を「VALORANT」をスロー撮影して確かめる。
太めのベゼルと力強い主張が感じられる外観
ボディーサイズは約633.6(幅)×269.5(奥行き)×436.5〜556.5(高さ)mmで、ベゼル幅は横が片側15mm、縦は片側20mmあり、ゲーミングディスプレイとしては太い印象だ。重量はスタンド込みで公称値が7.5kg(ディスプレイ単体は約5.1kg)と、こちらは一般的なゲーミングディスプレイに近く、持ち上げるとかなり重みを感じる。
ディスプレイの高さは120mmまで調整でき、チルト角は-5〜20度まで、左右のスイベルは40度ずつに加え、90度のピボット(縦位置表示)にも対応していて、マルチディスプレイとして使用する際の位置調整なども楽に行える。
なお、VESAマウントのネジ穴は100×100mmに対応する。付属品はDisplayPortケーブル、HDMIケーブル、ACアダプター、USBケーブル、キャリブレーションレポートなどだ。
インタフェースはDisplayPort 1.4×2(144Hz対応)、HDMI2.0×2(120Hz対応)、3.5mmのイヤフォンジャック、USB 3.0端子(Type-A)×2、USBアップストリーム端子を備える。やや気になったのは、ディスプレイの外装が出っ張っている関係でケーブルを接続しにくかったことだ。付属するケーブルカバーとデザインを合わせるために思えるが、少々煩わしく感じた。
OSDメニューは応答速度を高めて残像を抑制する「オーバードライブ(OD)」機能やタイマーなどをオーバーレイ表示する「GamePlus」機能などのASUS製ゲーミングディスプレイによく搭載されている機能の他、HDRの表示方法をゲーム向けの「Gaming」と映画向けの「Cinema」で切り替えられるメニューを搭載している。こちらはHDR機能を有効化しないと選択できず、HDR機能を有効にすると明度やコントラストの調整が無効化される。
ちなみに、画面輝度は標準350カンデラ、最大400カンデラで、本製品はHDR10やDisplayHDR 400をサポートする。
早速、PCに接続してゲームをプレイしてみよう。
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4K+HDRで既存のゲームをくっきり鮮やかに
では実際にゲームを遊んでみる。オープンワールドゲームのPC版デス・ストランディングは、最大240fpsまで表示が可能で、4K HDRにも対応している。
プレイ中にフレームレート計測ソフト「Fraps」で計測したところ、筆者のデスクトップPCでの画質設定は「最高」で130fps前後を記録。XG27UQの力を試すには申し分ない。
実際に遊んでみると、4K表示かつ高いリフレッシュレートで動く映像は見ていて気持ちがいい。筆者が普段使っているディスプレイは24型のフルHD(1920×1080ピクセル)表示で、リフレッシュレートは高いがもっと解像度が高くなるとどうなるのか、と感じていたところだった。
今回、4KとフルHD表示の両方で同じシーンのスクリーンショットを撮影し、同じサイズに拡大してみた。
当然ではあるが、4Kの方が細かくきれいに表示されている。4Kで映像を表示するのはマシンパワーが必要だが、27型ディスプレイに高精細なグラフィックスが表示されているのはうれしい。
また今回フルHDから4K表示のディスプレイに変えてみて、その作業スペースが拡張したこともさまざまな面で役立つポイントだ。文字サイズが100%から150%になったものの、描画ドット数は4倍となり、ゲームだけでなくビデオ会議から、さまざまなビジネスアプリケーションを立ち上げても広々とディスプレイを使える。
144Hzのリフレッシュレートで滑らかな映像表示
次に人気FPSゲームのVALORANTで、144Hzのリフレッシュレートを確かめる。VALORANTはPCが比較的低スペックでも高めのフレームレートが出るタイトルで、滑らかな映像表示を手軽に実感できる。
今回はゲームの画面解像度を4Kに設定し、Frapsをオーバーレイ表示してフレームレートが300fps前後となっていることを確認しつつ、60Hz、120Hz、144Hzの映像を240fps4倍スローで撮影した。
60Hzではコマ飛びしているように映像が表示されている一方で、144Hzでは滑らかに表示されていることが分かる。相手が飛び出してくる一瞬の隙を逃さないためにも、対戦するタイトルにおけるリフレッシュレートとフレームレートは高いほどよい。
リフレッシュレートが高いと、1秒間に表示される画像の量が格段に増える。1秒間に60枚と144枚の違いがあり、その差はほんの一瞬ではあるが対戦相手が表示される差に直結する。そう考えると、「映像が滑らかになる」以上のメリットが見えてくる。
なお、可変リフレッシュレートへの対応についてはG-Sync Compatibleを取得中という。
ハイスペックPCに見合ったリッチな体験を得られる
総じてXG27UQは、GeForce RTXシリーズやRadeon RXシリーズを搭載するハイスペックPCにふさわしい、高精細かつ高いリフレッシュレートのディスプレイだと感じた。逆にGPUの性能が低めだと、このディスプレイの真価を発揮することはできない。
普段、フルHD表示のディスプレイを使っている筆者にとって、ディスプレイのサイズは変わらずとも解像度が大幅にアップすることで作業スペースが広がる点も好印象だ。手持ちのフルHD液晶ディスプレイと同じ16:9のアスペクト比で作業スペースが大きく広がり、普段のPCを使った作業にも役立つように感じる。
加えて、ハードウェアとソフトウェアの両面で細かな調整機能を備えており、ゲームや仕事でも場所を選ばずに使えるのは見逃せないところだ。
XG27UQは、高いスペックを要求するリッチなディスプレイだ。価格は直販のASUS Storeで税別9万655円と高価だが、同じく27型で2560×1440ピクセル表示に対応(最大170Hz駆動)した「ROG Strix XG279Q」は同6万9382円となっている。
これをゲームだけに使うのではなく、昨今広がりつつあるテレワークでの作業や、4Kでの映像の視聴など、フルに使い倒してみたい。4Kかつ高いリフレッシュレートを持つディスプレイはまだ少数だが、このXG27UQはゲーマーのゲームシーンだけでなく、日常そのものを変える可能性があるといえる。
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