そんな中、私が注目しているのが、まだ産駒がデビューしていない種牡馬の当歳、1歳馬の動向だ。昨年、ディープインパクト、キングカメハメハが死んだため、ロードカナロアなど上位勢に続く存在が待たれる生産界。17年に現地で取材した際は、キズナの初年度産駒となる当歳馬が高評価を受けていたが、今後の勢力図を変えそうな種牡馬は先々のためにも早めにチェックしたい。
まず名前が挙がるのが、新種牡馬サトノダイヤモンド産駒の当歳馬。自身も13年当歳セレクトセールで2億3000万円(税抜き)の高値で落札された。3歳時の16年に菊花賞、有馬記念を制した良血馬で、現役時代に同馬を管理した池江師は「写真を見ていても、グッドルッキングな馬が多いですよね。父譲りで顔を見ても賢そう。クラシックで活躍してほしいです」と楽しみにする。
半兄に重賞3勝馬シャケトラがいるサマーハ20(牝)や、叔母にG1馬クロノジェネシス、ノームコアがいるウォークロニクル20(牝)など上場馬に良血馬がズラリと並ぶ。「いい馬が出てくると思いますよ。ダービーを勝ちきれなかったので、産駒からダービー馬が出てきてほしいですね」とトレーナーの期待は大きい。
同じ池江厩舎に所属していた17年安田記念覇者サトノアラジン産駒も、当歳、1歳馬が上場予定だ。「スラッとしたサトノダイヤモンドと違い、筋肉質でいかにもスピードがありそうな感じ。なかなか評判もいいですよ」と指揮官。パスティエーラ20(牝)や、ミスティーク2の19(牡)あたりは、個人的にどんな値をつけるのか興味深い。
昨年、ディープインパクトは途中で種付けを中止している。その影響もあり、同馬の血を引く種牡馬にも、良質な繁殖牝馬が流れていると聞く。キズナやリアルスティール産駒などを含め、ディープ系の当歳馬の市場評価は、そういう意味でも気になるところだ。
ディープ系以外なら、顕彰馬に選出されたばかりのキタサンブラックの当歳、1歳馬は目が離せない存在だ。管理した清水久師は「いろいろなタイプがいるみたいですね。距離は持つと思うし、頑張ってほしいですね。いい子を出してほしい」と産駒に期待する。昨年のセレクトセールでも1億円を超える価格で落札され、評価は高かった。レシステンシアの半弟マラコスタムブラダ20(牡)など、今年も注目度は高い。
短距離で活躍しそうな血統で言えば、メイクヒストリー20(牡)、プリンセスロック20(牝)が名を連ねているビッグアーサー産駒が目にとまる。現役時代に手掛けた藤岡師は「筋肉質でスピードもあって、結構評判も良くて、たくさんつけてもらっている。早めに勝負できそうなのもいいのかもしれないね」と語っていた。
母の父がキングマンボで、キングカメハメハとは血統構成が重なる部分はあるが、サンデーサイレンスの血を持たない同馬は、繁殖牝馬に恵まれる可能性はある。産駒が2歳戦の早い時期に結果を出すようなら、今後、サクラバクシンオーの後継種牡馬として、飛躍しそうな予感が漂う。
取材を進めていて感じたのは、どの調教師も穏やかな表情で応じてくれたことだ。池江師が「子どもの運動会を見ているよう」と語っていたが、自身の管理馬が種牡馬となり、その産駒が走るのはそれほど大きな喜びなのだろう。全ての種牡馬が成功するわけではないので、厳しい世界だとは思うが、セールを注視しつつ、それぞれに活躍の場があれば、と心から願いたい。
(デイリースポーツ・大西修平)
提供:デイリースポーツ
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June 30, 2020 at 11:00AM
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